IGマーケッツさんの記事メモ

優良な記事であったため、ブログコンテンツにて引用させていただきました。

加速する円高 トレンドはグローバル市場次第

引用:IGマーケッツ


政治的なハードル

このような状況の中、米財務省が29日に公表した半期為替報告書では、今回から新たに設けられた「監視国リスト」の対象に日本を含めてきたことが判明。「監視国リスト」の条件は、①対米貿易黒字が200億ドル超であること、②経常黒字が国内総生産(GDP)比3%超であること、③年間の為替介入規模がGDP比2%超であること、という3項目からなるが、日本はこのうち前者2つに該当した。今後問題となるのは③だろう。単純に現在の日本のGDPを500兆円とすると10兆円の円売り介入を実施しただけで(2011年の円売り介入規模は約14兆円)、上記3つの条件を満たすことになる。そのような事態に陥れば、①米国サイドから為替政策の是正を求める交渉依頼がなされ、②1年経ても相手国(日本)が是正に応じなければ米国サイドからペナルティが課されることになる。

上記の為替報告書に加え、安倍首相自ら「外国為替市場での恣意的な介入は控えるべきだ」と米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで述べ(4月5日)、ルー米財務長官はワシントンで開いた日米財務相会談の翌日に「円相場は秩序的だ」と日本サイドの動きをけん制し(4月14日)、且つ今月26-27日にはG7伊勢志摩サミットが控えている。また、今回の半期為替報告書が環太平洋経済連携協定(TPP)を意識した点(=公正な為替相場が保障されていることを理由にTPP反対派を封じ込め議会における批准の目途を早期に立てたい米国サイドの思惑)であることも考えるならば、政治的に円売り介入のハードルは相当高まったと言えるだろう。

円相場のトレンドはグローバル市場の動向次第

だが、これまでの経験則から判断するに、上記のハードルを乗り越え日本の当局が円売り介入へ踏み切ったとしても、それは投機筋に絶好の売り場を提供するだけであり、円高を阻止することは不可能だろう。

では、円高阻止の要因として注視すべき要因は何か?
それはグローバル市場の動向である。その点を端的に示唆しているのが、昨夏から今年2月中旬まで続いたグローバル市場の混乱時における円高であり、原油価格とグローバル株式市場の反発に伴うその後の円安であった。

しかし、頼みの綱のグローバル市場では変調の兆しが見え始めている点が気がかりだ。先週(4月25日の週)の主要な株価指数の週間騰落率を確認すると原油価格の反発によりロシア、ブラジル、メキシコといった一部の新興国市場は堅調さを維持した反面、日米欧そして中国のそれらは軒並み下落している。ドル安が継続する中での株安は、3月以降続いた「ドル安=リスク選好」の構図が崩れる可能性を示唆している。今後、グローバル市場が不安定化に向かうならば、その主因は米経済の先行き不透明感の再台頭の可能性が高い(4月FOMC声明文の冒頭では経済成長の減速兆候についての文言が盛り込まれた)。直近の指標データは強弱まちまちだが、GDPの約7割を占める個人消費の落ち込みが鮮明となっており、将来の成長の妨げになる可能性は否定できない。頼みの綱である労働関連指標までが低迷するならば、2月中旬以降続いた株高の反動により米株には利益確定売り圧力が強まろう。その場合、グローバル株式市場も不安定化し、円高がさらに進行するだろう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする